それはさておき、ご質問の件ですが、「宗教を信じるのは弱い人間だ」とか「宗教は麻薬だ」ということば、よく耳にしますね。これから私が語ろうとするのは、そういっておられるご家族に対する反論ではなく、そういうことばを聞いた時に、いやな気持ちにならないためにお話するのです。はっきり言っておきますが、家族の反対を正面から論破しても、家族の方たちの心配な気持ちや不安な思いは消え去るどころか、かえって逆効果になる場合があるのを忘れないでください。
まず、「宗教を信じるのは弱い人間だ」ということばについて考えてみましょう。人間は、だれにでも弱さがあり、また、だれにでも強さがあります。問題は、何を「強い」と言い、何をもって「弱い」と言うのか、その点だと思います。
もし、何にも頼らない人間が強い人間だとすると、ちょっと考えただけでもそんな人は一人もいないとすぐにわかります。自分の力だけで生きている人間など人もいません。ごく普通の生活をしていれば、少なくとも人間同士の暗黙の相互依存があります。食べる物から着る物、電気や水道にいたるまで、だれの世話にもならずに一切を自分の手でまかなっている人など、だれもいないのです。しかし、そういう相互の依存関係を「弱さ」と言わないのは、もうすっかり当たり前のことになっているからです。そういう相互関係が長く続いている
もちろん、私は経済活動そのものを否定しているのではありません。ただ、それにすっかり依存しきって生きる人が、本当に強い人間の姿なのか、と問われるなら、決して強いとは言えないと思うのです。逆に、経済破綻した中でも信仰心から出てくる生きがいと希望を持って生きることができるとすれば、そのほうがずっと強い生き方と言えるのではないでしょうか。
ただ、どんな人であれ、自分の利益だけを追求する生き方、自分の幸福だけを優先させる生き方をしているとしたら、その姿こそ人間の弱さの現れなのだと思います。宗教を信じる人間が特別に弱い人間なのではなく、本来人間が持っている弱さを、何によって克服しようとしているのか、そこが大切だと私は考えます。
いっぽう、「宗教は麻薬だ」ともよく言われます。宗教が麻薬のようだといわれる意味は、わからないでもありません。それは現実を超えた理想の世界を扱うという点で、麻薬の幻覚作用とごっちゃにされています。また、一度手を出したら、それにすっかり依存してしまうという意味でも似ているかもしれません。けれども、見えないものを信じ、それにより頼んで強く生きていく生き方がいけないのかというと、それは全く別問題だと思います。
先ほども言いましたが、人間は生きていく上で、何かに依存せざるを得ない面があるのです。その対象が、本当に頼りとなる確実なものであるかどうかは、だれにも言えないのです。言ってみれば、ただ確実だと信じているだけのことです。そう信じるのは、その人にとって信じるに値する十分な理由があるからです。要するに、それを人が「宗教」と呼ぶか呼ばないかの違いだけではないでしょうか。つまり、人間の生そのものが「幸福」という目に見えないものを目指し、実現するために何かに依存しながら営まれているのです。それぞれが、どんな幸福感を描き、何に依存して生きていくのか、そこが問題なのです。
そういう意味で、「宗教を信じる人間は弱い人間だ」とか「宗教は麻薬みたいだ」と言われても、本当に確実なものを信じている私たちは、それを気にする必要はないでしょう。
後藤喜良著「キリスト教 ここが聞きたい! Q&A 21」(いのちのことば社)より抜粋
迷っているとき、悩んでいるとき、苦しいとき…。そんなときは、聖書のこの個所を読んでみてください。
⇒ 孤独でさびしい
⇒ 悲しい、慰めがほしい
⇒ へこんで、立ち直れそうもない
⇒ 疲れた
⇒ 失敗できないことが目前に迫っている
⇒ 悪い習慣がなかなかやめられない
⇒ 決断できない
⇒ 健康を害している
⇒ 外見や人目が気になる
⇒ 不安だ。安心したい
⇒ ほしい物が尽きない
⇒ あれこれ心配して眠れない
⇒ 年をとるのが怖い
⇒ 死ぬのが怖い
⇒ 自分は価値がないと感じる
⇒ 人と比べて、自分なんてダメだ
⇒ 人が赦せない
⇒ やってはいけないことをしてしまった
⇒ 人に傷つけられた
⇒ 嫉妬を感じる
⇒ 人を愛したい
⇒ 友だちのことで悩んでいる
⇒ 自分の思い通りにいかない
⇒ ことばで人を傷つけてしまった
⇒ 夫婦関係がぎくしゃくしている
⇒ 子育てに不安を感じる
⇒ 本当に大切なことはなんだろう
⇒ 変わらないものなどあるのだろうか
聖書で語られる神の物語を見て、聞いて、知ってください。
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⇒ イントロダクション
⇒ 第1章:はじめに
⇒ 第2章:選択
⇒ 第3章:死をもたらす病
⇒ 第4章:約束の前ぶれ
⇒ 第5章:祝福となるために
⇒ 第6章:神の約束による民族
⇒ 第7章:神の道を歩むように召される
⇒ 第8章:約束された方
⇒ 第9章:イエスの働き
⇒ 第10章:神の愛と正義が交差する
⇒ 第11章:イエスは復活した
⇒ 第12章:イエスに従う者たち
⇒ エンディング